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高圧母線の碍子に、ヒビ割れを発見

ある銀行の年次点検を行った際のことです。

このお客さまの受電設備は屋上にあり、鉄骨フレーム構造で、変圧器は3相50(kVA)、単相30(kVA)の設備です。

地絡継電器の動作試験、接地抵抗値の測定等も順調に終え、碍子、機器の清掃も完了したので、高圧側一括絶縁抵抗測定をしたところ測定値は40(MΩ)でした。天候は、2~3日晴天が続いているのに、数値が前年に比べやや低いようです。判定基準値はクリアしていますが、念のため高圧ケーブル、母線、変圧器と切り分けて測定を行いました。

高圧ケーブルは2000(MΩ)、変圧器3φ50(kVA)1500(MΩ)、1φ30(kVA) 1000(MΩ)でしたが、高圧母線の1相が40(MΩ)であり、他の2相は800(MΩ)でした。高圧母線の絶縁抵抗値がアンバランスしており、その差が大きいので、原因の探究が必要と判断しました。

そこで、碍子の汚れを丹念にふき取りながら詳細に調査したところ、高圧ピン碍子の上部に髪の毛ほどの細いヒビを発見しました。碍子単体で絶縁抵抗を測定すると、案の定この碍子だけが40(MΩ)です。

早速、保安協会の営業所に報告し、同形の碍子を持参して応援に来るよう依頼し、不良碍子の取り替えを行いました。取り替え後は、高圧母線の絶縁抵抗が900(MΩ)となり、もう安心です。

この銀行の、保安責任者である担当次長から、「もし営業中に全停電になったら、オンラインが不通となり大混乱を引き起こし、信用にもかかわる大事になるところであった」「早期発見と適切な処置に感謝します」と喜ばれました。

この事例のように、屋外に設置してある受電設備は風雨にさらされて汚れもひどい事が多く、小さな亀裂などは月次点検、年次点検での目視点検では中々発見しにくい場合もあります。絶縁抵抗値が基準値以上であっても、前年データとの相違等、場合によっては詳細に調査する必要があります。このように、碍子は、高信頼、長寿命の電気部品ですが、長い間には劣化します。点検と検査の大切さを痛感した次第です。