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ダウンライトの熱による出火を未然に防止

毎年多くの火災が発生し、尊い人命や貴重な財産が失われています。出火原因の中に、比率は少ないですが、電気による火災があります。電気火災というと、漏電、短絡、過電流、スパーク等により出火するものが多いのですが、ここでは照明器具の発する熱が発火源となった事例をご紹介いたします。

私が、宿直勤務をしていた時のことです。夜10時過ぎにあるホテルから「8階で何かが焦げた臭いがする」との電話連絡を受け、早速出向しました。

ホテルの従業員の方に案内され8階の状況を調べました。紙が燃えたような臭いのため「お客さんが紙を燃やしたのでは?」と疑いつつ調査を進めました。臭みがやや強い客室に入り、部屋を見回したところ、天井に埋め込んだダウンライト付近が変色し、ごくわずかな煙が出ているのを発見しました。

早速ダウンライトを取り外してみると、天井板とコンクリートの間に断熱材のグラスウールが一面敷きつめてありました。そのグラスウールにダウンライトの金属製カバーが接触しグラスウールの表面アルミ箔が変色していました。「グラスウールは燃えないはず」と思いながらも詳しく調べてみると、グラスウールを両側から包むアルミ箔の裏側に補強のため薄い紙が貼ってあり(外被)、その紙がダウンライトの発する熱により約30cm四方が焼け焦げていました。このホテルは建築後3年程経過しており、その間にダウンライトの熱によって周囲が燃えやすい状態になり、発火したものと判断しました。

早速、従業員の方にダウンライト付近のグラスウールを切り離し、空間を確保するようお願いしました。支配人に、他の客室や通路にも多数のダウンライトが使用されていて同じようなことが考えられるので、至急調査する必要がある旨お話しいたしました。

支配人から「火災になる前に発見して頂き助かりました」と感謝され、私自身も胸を撫でおろしました。白熱電球を使用する器具は、周囲も高い温度になります。特にダウンライトの場合は熱が放散しにくいため、布や紙など燃えやすいものとの隔離を十分取るなど正しい工事施工をすることが大切です。