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スタートボタンを押さないのに突然機械が動き出す。素人工事で電線が接触

ある自動車部品を加工するお客さまから「工作機械が突然動き出して、危険だから見てほしい」との電話連絡があり早速工場にお伺いしました。

その機械は、エンジンのシリンダを加工するファインボーリング専用機で、制御装置はシーケンサタイプではなく電磁継電器を組み合わせたものです。ワーク(加工品)を取り付け主軸モータでワークを回転させ、油圧シリンダで自動的に刃物台を移動しながら加工し、加工が終了すると刃物台が元の位置まで戻るという比較的簡単なシーケンスです。

故障を再現させるため、従業員の方に以下の標準手順で機械を運転して頂きました。

  1. 手元開閉器を入
  2. 油圧ポンプの始動
  3. ワークを治具に取り付け(クランプ)
  4. スタートボタンを入
  5. 加工終了後、元の位置に戻って停止

とすべて正常でした。5回ほど加工サイクルを繰り返しても異常ありません。

そこで、ワークをクランプした状態で、関連する位置検出スイッチ・電磁弁や配線してあるケーブル類を軽く振動させたりしたところ、スタートボタンを押さないのに突然刃物台が動いたのです。すぐに電源を切り、シーケンスを始動させる回路を中心に詳細に調べたところ、操作回路の一部が絶縁不良でした。

絶縁不良になっていた位置検出スイッチのカバーを外してみると、スイッチの端子に巻きつけられた電線の素線が数本、位置検出スイッチの金属箱とわずかに接触していました。

誤作動の原因は、電線がケースに接触したことにより、誤った回路が形成され、スタートボタンを押したと同じような状態になったものです。

早速、圧着端子で正規配線して修理しましたが、どうやら従業員の方が位置検出スイッチを交換するときに圧着端子を使用せず配線されたようです。

このような故障は、一歩間違えば人身事故につながる可能性があるので、工場長さんに修理内容を説明し、自動機械の工事は専門家に任せ従業員の方には修理させないようにお願いしました。この事は、安全確保と共に製品の品質管理上からも重要なことです。