ホーム > 事業内容 > 法人のお客さま向け > 保安業務ニュース > 私はこうして電気事故を防いだ > 無理なケーブル工事は漏電のもと

事業内容

無理なケーブル工事は漏電のもと

ある織物工場へ月次点検にお伺いしたときのことです。

いつもの手順で全体の外観点検、放射温度計により温度測定を実施し、変圧器2次側接地線(アース)での漏電測定のために動力用変圧器の接地線電流をクランプメータで測定したときのことです。いつもは10(mA)前後の漏れ電流しかないはずなのに、なんと8(A)を超える漏れ電流がありました。

すぐに動力用の主分電盤を開き分岐するいくつかの回路の漏れ電流を測定したところ、工場棟の中に並んでいる3つの生産ラインのうちのひとつに原因があることが分かりました。

工場長の立ち会いの下で、稼働中であるそのラインの主制御盤の扉を開き、電源入力ケーブルにクランプメータをはさみ、漏れ電流を測ったところ意外なことに数(mA)程度の漏電でした。

改めて、主分電盤からこの制御盤までのケーブルの経路(床下のケーブルダクトの中を通ってきている)のどこかで漏電していると推定し、まず手近な制御盤直下のチェッカプレートを1枚めくってみることにしました。

するとチェッカプレートがのっていた鉄骨枠のもう一つ下の鉄材が発熱し、鮮やかなオレンジ色に染まっていました。その赤く熱い鉄材にケーブルの立ち上がりの湾曲した部分の被覆が食い込み、そこが明らかな漏電個所であることを示していました。

すぐにそのラインを停止し、分電盤のスイッチを切って漏電個所を切り離し、緊急修理の依頼をするよう工場長にお願いしました。このラインは夜間無人で稼動するラインであり、このまま放置すればいつ発火してもおかしくない状況を考えると、お客さまも私も大きく胸を撫で下ろしたところでした。

原因は、長さに余裕のないケーブルを無理に引っ張って曲げて、鉄材の鋭角部に押しつけた状態で施設したためケーブルの被覆が鉄材に食い込み、伸縮を繰り返すうちにケーブル芯線が鉄材に接触して大漏電し、鉄材が真っ赤になるまで過熱するに至ったものでした。

余談ですが、日頃何事も無い時は、無意識のうちに電気を使っていた工場の人たちも、この漏電現場を見て、改めて電気安全に関心を寄せていただくこととなりました。