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サーモラベルの変色から変圧器高圧ヒューズの劣化を発見

夏のある日の月次点検での出来事です。

A会社の保養施設へ点検に訪れ、事務所で挨拶を済ませて屋内受電室へ行き、高圧設備関係から点検を開始しました。各変圧器の外箱に貼ってあるサーモラベルに目をやったとき、「オヤッ」と思いました。

それは、昨年私が4台の変圧器全部にサーモラベルを貼付けておいたのですが、動力用変圧器3台分のものが黒く変色しているのに気付いたからです。 サーモラベルが黒変するということは、変圧器が高温になっていた証拠ですから、過負荷で使用されたな!?との連想されます。

一通り点検を済ませてから事務所に戻り、管理人さんに設備の利用状況を重点に、再度お伺いしてみましたら「今夏は、特に利用客が多い。満員のときに、貴方の話のような変圧器トラブルで停電したら大変なことになる。今、何か手を打てないか。」とのお話でした。

変圧器の過負荷については、改めて負荷測定実施後に対策を検討することとしましたが、他にも気掛かりなことがありました。 年次点検のときには、設備全体を厳重にチェックはしてあるものの施設後約5年経過しており、このように過負荷で使用されることがあると、ひょっとしてヒューズが劣化しているのではないかということが心配されました。

そこで、協会営業所に電話して現況を説明し、精密な点検のため応援の依頼をしました。 幸い、近くのB工場に停電点検のため同僚の技術員がきていましたので、すぐ応援に駆けつけてくれました。

管理人さんの立会いのもとに高圧設備を停電し、高圧カットアウト(PC)を切って変圧器と高圧ヒューズの総点検を実施したところ、案の定、高圧ヒューズのビニル被覆が黒変していました。 中には取替作業中に折れてしまうものもありました。 「危機一髪だったなあ!」と言って管理人さんが安堵の声をあげられ、点検者としても大いに面目をほどこすことができました。 なお、後日負荷電流測定を実施したところ、空調機等のフル稼働で過負荷使用となるのは短時間のため、変圧器寿命に大きな影響を及ぼすほどではないと分かりました。 サーモラベルの変色が、高圧ヒューズの劣化を発見する契機を作ってくれたおかげで、停電トラブルの未然防止ができました。

高圧ヒューズの寿命は、通常の使用状態では、10年程度と聞いていましたが、今回のように過酷な条件で使われる場合には、早く取り替えるべきであると痛感しました。